Press
ACK Talks、Tastemakerのご案内
2023年9月29日
Press Release no.3
京都府(知事:西脇隆俊)とArt Collaboration Kyoto 実行委員会は、リードパートナーに三菱地所株式会社、
株式会社エディオンを迎え、現代アートとコラボレーションをコンセプトにした日本最大級の国際的なアートフェア、「Art Collaboration Kyoto(ACK)」を2023年10月28日(土)から30日(月)まで開催いたします。
本プレスリリースでは、ACKの会期中に行う「ACK Talks」についてお知らせいたします。国内外から30名以上の有識者がACKに集まり、アートの最新動向から社会問題まで、幅広いテーマを扱う11本のトークセッションを展開します。
また、アート以外の分野でも活躍する方々に「Tastemaker」としてご協力いただき、彼らの審美眼によるアートの楽しみ方を共有します。
京都で開催するACKならではの、多彩なプログラムで構成される、唯一無二のアートフェアを秋の始まりとともにお楽しみください。
ACK Talks
ACK Talksでは、2023のキュレトリアル・テーマ「Visions of a Torn World:循環と共存」を起点とする11のセッションを実施します。
情報化社会におけるネットワークの拡大は、私たちに新しい出会いやつながりを可能にしました。一方で昨今のパンデミックや国家間の衝突、経済格差などの諸問題は、社会の中にある亀裂や分断をあらわにしました。持続可能な社会とは、絶え間ない接続と分断との循環を乗り越え、共存できる社会のことではないでしょうか。
そうした社会の実現のために、社会の中のアートの現在地を再確認し、これからのアートのミッションや、エコロジーに関する思想について取り上げます。また、伝統を色濃く残す京都を舞台とするACKならではの視点として、こうした社会背景に対し、京都という都市がどのような役割を担うことができるのか、そのポテンシャルを模索します。
会場:国立京都国際会館ニューホール(同時通訳、オンライン配信あり)
10月28日(土)
12:30-13:30 | ① アートの現在地:普遍性⇆地域性 フール・アル・カシミ(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター/国際芸術祭「あいち2025」芸術監督) キム・へジュ(シンガポール美術館シニアキュレーター) |
14:00-15:00 | ② anonymous art project 鬼頭健吾・森江康太・Akiyoshi Yasuda 鼎談 (協力:株式会社メルコグループ) 鬼頭健吾(現代美術作家) 森江康太(映像作家/監督/アニメーター) Akiyoshi Yasuda(サウンドクリエイター) 進行:小幡真也(anonymous art project) |
15:30-16:30 | ③ 次世代へ繋ぐアートのエコロジー アーロン・セザール(デルフィナ財団創業者兼ディレクター) グレッグ・ドヴォルザーク(早稲田大学国際学術院教授) 名和晃平(彫刻家/Sandwich Inc.代表/京都芸術大学教授) |
17:00-18:00 | ④ テクノロジーが切り拓く、アートをとりまく環境の新地平 (協力:デロイトトーマツグループ) 山峰潤也(キュレーター/プロデューサー、株式会社NYAW代表取締役) 村田俊介(株式会社大丸松坂屋百貨店 ARToVILLA プロジェクトマネージャー) 永井希依彦(有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部 マネージングディレクター) |
10月29日(日)
12:30-13:30 | ⑤ これからのアートのミッション ロビー・フィッツパトリック(Fitzpatrick Galleryオーナー兼ディレクター/Basel Social Club共同設立者) コア・ポア(アーティスト) ジャスミン・ワヒ(Project for Empty Space創立者兼共同ディレクター) |
14:00-15:00 | ⑥ アート セオリー “エコロジカル・シンキング” エマヌエーレ・コッチャ(哲学者/パリ社会科学高等研究院(EHESS)准教授) 長谷川祐子(金沢21世紀美術館 館長) |
15:30-16:30 | ⑦ 暮らしとアートのインターセクション (協力:三菱UFJフィナンシャル・グループ) ニコラ・トレンブリー(キュレーター/美術批評家/アドバイザー) ほか |
17:00-18:00 | ⑧ 文化交流地点としての京都 青木淳(建築家/京都市京セラ美術館 館長) 林保太(文化庁 文化戦略官/芸術文化支援室長) 加藤泉(美術家) 進行:山下有佳子(ACKプログラムディレクター) |
10月30日(月)
13:00-14:00 | ⑨ 革新が紡ぐ伝統:引き裂かれた世界のために (協力:三菱UFJフィナンシャル・グループ) シアスター・ゲイツ(アーティスト/ソーシャル・イノベイター) 細尾真孝(株式会社細尾 代表取締役社長) 伊住禮次朗(茶道総合資料館 副館長/茶美会主宰) 片岡真実(森美術館 館長/国立アートリサーチセンター センター長) |
14:15-15:15 | ⑩ 社会とアート:アートが繋ぐコミュニティ 菊池宏子(アーティスト/NPO法人インビジブル クリエイティブ・ディレクター) レベッカ・ラマルシュ–ヴァデル(Lafayette Anticipationsディレクター) 田口美和(タグチアートコレクション共同代表) ジャスティン・ヨウ(Plan b Inc. シニア・パートナー/Alife Holding Co., Ltd. 創立者兼CEO) |
16:00-17:00 | ⑪ クロージング・トーク 詳細は近日中にWebにて公開 |
10月28日(土)
12:30-13:30 ① アートの現在地:普遍性⇆地域性
今やあらゆる国や地域で開催される芸術祭やアートフェア。アートそのものが持つユニバーサリティー(普遍性)とそれぞれコミュニティごとの独自の文化に基づくローカリティー(地域性)の間を絶えず行き来しながら、私たちとアートの関係はどこから来てどこへ向かうのか。シャルジャ美術財団理事長兼ディレクターであり、あいち2025の芸術監督に就任したホーア・アル・カシミ氏と、釜山ビエンナーレ2022のアートディレクターを務めたキム・ヘジュ氏を迎え、お話を伺っていきます。
フール・アル・カシミ(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター/国際芸術祭「あいち2025」芸術監督)
シャルジャ美術財団の創立者兼ディレクター。アラブ首長国連邦のシャルジャのみならず、中東、そして世界のアートの媒介者、支援者として、2009年にシャルジャ美術財団を設立した。
非常に高い評価を受けた「シャルジャ・ビエンナーレ15:Thinking Historically in the Present(現在を歴史的に考える)」(2023年)をはじめ、同財団やその他の国際的機関のために大規模な展覧会を企画している。
財団での職務に加えて、国際ビエンナーレ協会会長、アフリカ・インスティテュート会長、シャルジャ建築トリエンナーレのディレクターとしても活動している。
キム・へジュ(シンガポール美術館シニアキュレーター)
東南アジアおよびアジアにおける現代アート。直近では釜山ビエンナーレ2022のアーティスティック・ディレクターを務め、それ以前はアートソンジェ・センターの副館長を務めた。
様々な分野の現代美術展やパフォーマンス・プログラムのキュレーションに携わる。キュレトリアル・アプローチとしては、身体、時間、記憶を重要な要素として考えながら、エコロジーの視点、ローカリティや惑星規模の関わりにも着目してリサーチに取り組んでいる。
アート・ソンジェ・センターでのグループ展「Transposition」(2021年)、「Dust, Clay, Stone」(2020年)、「The Island of the Colorblind」(2019年)、また田中功起(2020年)、ナム・ファヨン(2020年)、クー・ドンヒ(2019年)、リー・キット(2019年)などの個展をキュレーションした。他の展覧会としては、デンマークのKunsthal Aarhusで開催された下道基行とマノン・デ・ボアの2つの個展や、ソウル・アートスペース・ムレ(2016年)、ARKOアートセンター(2017年)、ソウル市立美術館(2020年)で開催された3章からなる展覧会とパフォーマンスのプログラム「Moving/Image」などがある。
14:00-15:00 ② anonymous art project 鬼頭健吾・森江康太・Akiyoshi Yasuda 鼎談(協力:株式会社メルコグループ)
「anonymous art project」では、2023年anonymous collectionを推進してきました。その中で顕著な活躍をされたアーティストに授与されるInnovative Artist of the Yearを現代美術作家・鬼頭健吾氏が受賞いたしました。本トークイベントでは、受賞された鬼頭健吾氏と映像作家・森江康太氏、サウンドクリエイター・Akiyoshi Yasuda氏が参画し、同プロジェクトの支援により制作されたコラボレーション作品についてお話します。
鬼頭健吾(現代美術作家)
1977 年愛知県生まれ。名古屋芸術大学絵画科洋画コース卒業、京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。京都芸術大学大学院教授、MtK Contemporary Art ディレクター。
フラフープや布、スカーフやミラーなど日常にありふれた既製品を使い、そのカラフルさ、鏡やラメの反射、またモーターによる動きなど回転や循環を取り入れた大規模なインスタレーションや、立体、絵画、写真など多様な表現方法を用いた作品を発表している。本展覧会では、2017 年から現在までの “cartwheel galaxy” シリーズを展示している。
主な展覧会に「Kengo Kito: Unity on the Hudson」Hudson River Museum(2023、ニューヨーク)、「KAAT EXHIBITION 2022 鬼頭健吾 Lines」KAAT Kanagawa Art Theatre(2022、神奈川 )、「DOMANI: The Art of Tomorrow」国立新美術館(2021、東京)、「Reconnecting」Japan House LA(2021、ロサンゼルス)など。
森江康太(映像作家/監督/アニメーター)
2016 年自身が代表を務める MORIE Inc.を設立。映像作家、監督、CG アニメーターなど活動分野は多岐にわたる。
ヨルシカ MV『左右盲』『春泥棒』『ノーチラス』、GReeeeN MV『星影のエール』、NHK 連続テレビ小説『ちむどんどん』『ひよっこ』のタイトルバック、映画ドラえもん『のび太の新恐竜』、日清カップヌードル CM「HUNGRY DAYS 最終回篇」など数々の有名作品を手掛ける。
Akiyoshi Yasuda(サウンドクリエイター)
美しさと儚さをエレクトロニックサウンド、ノイズの響きにのせ 様々な感情を彩るインス トゥルメンタルアーティスト。
自身のライフログとして memento をテーマに記憶を記録し ていくプロジェクトをはじめ、様々な作品をリリース。劇中音楽としては、広瀬すず主演「あ んのリリック -桜木杏、俳句はじめてみました-」、 NHK よるドラ「腐女子、うっかりゲイ に告る。」、人気 TV アニメ「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」、 2022 年公開の映画「N 号棟」の劇中音楽も手がける。 また、その音像をアンビエントに昇華させた森山直太朗「素 晴らしい世界」に編曲で参加。独特の世界観は関係者からの高い評価を得ている。
進行:小幡 真也 (anonymous art project)
15:30-16:30 ③ 次世代へ繋ぐアートのエコロジー
美術館やアートセンター、芸術大学など豊かな現代アートの土壌を持つ京都。この地で文化を未来へと継承するための方法について、京都に拠点を構える彫刻家・名和晃平氏、教育者であり、今回ACKのパブリックプログラムキュレーターを務めるグレッグ・ドヴォルザーク氏、デルフィナ財団共同設立者・ディレクター・アーロン・セザール氏を招き、国内外の視点を通して模索します。
アーロン・セザール(デルフィナ財団創業者兼ディレクター)
デルフィナ財団ではレジデンス、展覧会、公開イベントなど、複合的なプログラムのキュレーションと開発を担当し、「Politics of Food(食の政治学)」から「Collecting as Practice(実践としての収集)」まで、多彩なプログラムを通じて400人近いアーティスト、キュレーター、コレクターをレジデンスとして受け入れてきた。
また、ヘイワード・ギャラリー・プロジェクト・スペース、ソンウン・アートスペース、第58回ヴェネチア・ビエンナーレの公式プログラムなどをはじめとする外部の展覧会やパフォーマンスもキュレーションしている。個人、またデルフィナ財団として、数多くの理事会、委員会、諮問グループのメンバーとしても活動している。
グレッグ・ドヴォルザーク(早稲田大学国際学術院教授)
早稲田大学の国際学術院教授(歴史・文化研究、アート研究、太平洋・アジアのジェンダー研究)。
2018年にはポストコロニアル時代の太平洋の歴史に関する著書『Coral and Concrete』を出版。オセアニアにおけるアートと抵抗に関する講演を多数行っており、学術論文も数多く発表している。2022年にはブリズベンで開催された第10回アジア・パシフィックトリエンナーレ(APT)における「エアーカヌー〜北オセアニアからのアート」展の共同キュレーターを務めた他、2017年の第一回ホノルルビエンナーレを含む多くの展示にアドバイザーとして関わった。彼が創設した草の根ネットワーク、プロジェクト35(さんご)は、アートと学術的な交流を通じて、日本における太平洋諸島地域についての意識を高めることを目的としている。
名和晃平(彫刻家/Sandwich Inc.代表/京都芸術大学教授)
1975年生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2009年京都市伏見区に「Sandwich」を創設。
近年では、アートパビリオン《洸庭》など、建築のプロジェクトも手がける。2015年以降、ベルギーの振付家/ダンサーのダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品《VESSEL》《Mist》《Planet [wanderer]》の三部作を制作。2018年にルーヴル美術館ピラミッド内にて彫刻作品《Throne》を特別展示。2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に高さ25mの屋外彫刻作品《Ether (Equality)》を設置。
17:00-18:00 ④テクノロジーが切り拓く、アートをとりまく環境の新地平(協力:デロイトトーマツグループ)
近年注目されるWeb3.0は、アートの制作の現場から市場にいたるまで、いったいどのような変革をもたらすのでしょうか。アートの最前線を開拓するキュレーターの山峰潤也氏、大丸松坂屋百貨店が取り組むアートメディアARToVILLAの村田俊介氏、”Web3.0×Biz未来図”を研究するデロイトトーマツグループ永井希依彦氏をお迎えし、「アート×テック×ビジネス」の可能性を探ります。
山峰潤也(キュレーター/プロデューサー、株式会社NYAW代表取締役)
東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターにて、キュレーターとして勤務したのち、ANB Tokyoの設立とディレクションを手掛ける。その後、文化/アート関連事業の企画やコンサルを行う株式会社NYAWを設立。
主な展覧会に、「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」、「霧の抵抗 中谷芙二子」(水戸芸術館)や「The world began without the human race and it will end without it.」(国立台湾美術館)など。また、avexが主催するアートフェスティバル「Meet Your Art Festival “NEW SOIL”」、文化庁とサマーソニックの共同プロジェクトMusic Loves Art in Summer Sonic 2022、森山未來と共同キュレーションしたKOBE Re:Public Art Projectなどのほか、雑誌やテレビなどのアート番組や特集の監修なども行う。また執筆、講演、審査委員など多数。2015年度文科省学芸員等在外派遣研修員。
村田俊介(株式会社大丸松坂屋百貨店 ARToVILLA プロジェクトマネージャー)
大学では建築を学び、2008年入社後は、百貨店各店の内装デザインやファサードデザインなどの空間のデザインディレクション業務を担当。18年より未来定番研究所を兼務し、19年の心斎橋大丸の再開発プロジェクトでは、彫刻家 名和晃平氏とのコラボレーション作品の「鳳 / 凰」や、ライゾマティクス・アーキテクチャーとの「D-WALL」など大型アート作品のプロジェクトマネジメントを担当し、21年より現職へ。現在は、アートメディア「ARToVILLA」や、インキュベーションプロジェクト「Ladder project」などを中心に活動中。
永井希依彦(有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部 マネージングディレクター)
ファイナンスと産業知見の融合による戦略立案・新規事業創造・R&D/事業投資管理態勢刷新支援業務、及び、Deloitte Art&Financeのサービス立上・推進業務を主導・文化芸術領域として、アートフェスティバルの事業評価、大手金融機関向アート起点事業計画立案、アート起点エリア再開発計画立案、富裕層向アート資産管理・承継、美術館向事業戦略立案、アート懸賞コンクール事業評価などの実績がある。この他、主著に、『新「レピュテーショナル・リスク」管理論ーSNS時代の情報の加速化・拡散にどう対応するかー』(中央経済社、2023年、共同執筆)、『リスクマネジメント 変化をとらえよ』(日経BP、2022年、共同執筆)、『気候変動時代の「経営管理」と「開示」』(中央経済社、2022年、共同執筆)、『宇宙旅行入門(東京大学出版会)』(2018年、共著)他、「非グリーン航空機が「座礁資産」になるリスクシナリオに備えよ」「航空機ファイナンスの信用リスク管理に産業分野の知見を」(2021.2.15 金融財政事情)「航空産業におけるCyber Physical System概念の発展過程分析」(研究技術計画, Vol. 32, No. 3)、「エアラインの信用リスクに影響を与える経営指標抽出」(日本経営システム学会第58回全国大会)等論文・講演多数。有人宇宙輸送協議会理事。
10月29日(日)
12:30-13:30 ⑤ これからのアートのミッション
ジェンダーの不平等や人種問題、経済格差など様々な社会問題を抱える現代社会において、アートができることはなんだろうか。これからのアートの役割について、グローバルに活躍するアーティストのコア・ポア氏、キュレーターでアクティヴィストでもあるジャスミン・ワヒ氏を迎え、考察していきます。
ロビー・フィッツパトリック(Fitzpatrick Galleryオーナー兼ディレクター/Basel Social Club共同設立者)
ロバート(ロビー)・オクダ・フィッツパトリックは、2013年にロサンゼルスに設立されたフリードマン・フィッツパトリックの遺産を基にして2021年にパリに設立されたフィッツパトリック・ギャラリーのオーナー兼ディレクターである。バーゼル・ソーシャル・クラブ(2022年設立)、サロン・デテ(2023年設立)、パラマウント・ランチ(2014-2016年設立)の共同設立者として、オルタナティブ・アートフェア・プロジェクトを立ち上げに携わっている。ニューヨーク大学ギャラティン・スクール・オブ・インディビジュアライズド・スタディを修了後、ターニャ・レイトンのディレクターとしてベルリンで活動。日本とアメリカのミックスで、東京、ウィーン、ワシントンDCで育つ。
コア・ポア(アーティスト)
1987年イギリス生まれのイギリス・イラン・アメリカ系アーティスト。
その独自の視覚的言語は、長年の異文化交流により培われた伝統に基づいている。地理的、文化的、国家的遺産に関する幅広い素材と美的慣習を交差させることにより、彼は「東洋/西洋」という文化の2項対立的な理解を塗り替えることを可能にする。
ジャスミン・ワヒ(Project for Empty Space創立者兼共同ディレクター)
非営利団体「Project for Empty Space」の創設者兼共同ディレクター。
彼女の多面的なキュレーション活動は、主に女性の権利拡大に関する問題や、社会的言説における二項対立構造の複雑化、インターセクショナル・フェミニズムを通して、多面的な文化的アイデンティティの探求にも焦点を当てている。また、現在はニューヨーク大学のブルックリン・カレッジで教鞭をとっている。
14:00-15:00 ⑥ アート セオリー “エコロジカル・シンキング”
「植物の生の哲学」や「メタモルフォーゼの哲学」で注目を浴びる哲学者のエマニュエーレ・コッチャ氏と、金沢21世紀美術館館長であり、新しいエコロジーとアートについての理論を展覧会を通して実践する長谷川祐子氏を迎え、持続可能な社会についての考察が進む昨今の思想的動向とアートの関係について考えます。
エマヌエーレ・コッチャ(哲学者/パリ社会科学高等研究院(EHESS)准教授)
東京大学、ブエノスアイレス大学、デュッセルドルフ大学、コロンビア大学、ハーバード大学の客員教授を歴任。
著書に『La Vie sensible』『The Life of Plants』『Métamorphoses』『Philosophie de la maison』など。
最近では、アニメーションビデオ『Quercus』(2020年、Formafantasmaとの共同制作)、『Heaven in Matter』(2021年、Faye Formisanoとの共同制作)、『The Portal of Mysteries』(2022年、Dotdotdotとの共同制作)の制作にも参加している。2019年、パリのカルティエ現代美術財団で開催された「Trees」展に参加。第23回ミラノトリエンナーレのカタログ『Unknown Unknowns: An Introduction to Mysteries』を編集した。
長谷川祐子(金沢21世紀美術館 館長)
キュレーター/美術批評。金沢21世紀美術館 館長/京藝術大学名誉教授/総合地球環境学研究所客員教授/国際文化会館アートデザイン部門アドバイザー。
京都大学法学部卒業。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。水戸芸術館学芸員、ホイットニー美術館客員キュレーター、世田谷美術館学芸員、金沢21世紀美術館学芸課長及び芸術監督、多摩美術大学芸術学科教授、東京都現代美術館学芸課長及び参事、東京藝術大学国際芸術創造研究科教授を経て、2021年4月から現職。ヴェネツィア大学客員教授(2023年)。犬島「家プロジェクト」アーティスティック・ディレクター。文化庁長官表彰(2020年)、フランス芸術文化勲章(2015年)、ブラジル文化勲章(2017年)を受賞。
これまでイスタンブール(2001年)、上海 (2002 年)、サンパウロ (2010 年)、シャルジャ(2013年)、モスクワ(2017年)、タイ(2021年)などでのビエンナーレや、フランスで日本文化を紹介する「ジャパノラマ:日本の現代アートの新しいヴィジョン」、「ジャポニスム 2018:深みへ―日本の美意識を求めて―」展を含む数々の国際展を企画。
15:30-16:30 ⑦ 暮らしとアートのインターセクション(協力:三菱UFJフィナンシャル・グループ)
ニコラ・トレンブリー(キュレーター/美術批評家/アドバイザー)
ほか
※ 詳細は近日中にWebにて公開
17:00-18:00 ⑧ 文化交流地点としての京都
京都は、国際的な観光都市であり、芸術祭やアートフェアを通して国内外の芸術文化に出会うことができます。この文化交流地点としてのポテンシャルについて、美術家の加藤泉氏、京都市京セラ美術館館長で建築家の青木淳氏、文化庁文化戦略官の林保太氏を迎え、ACKディレクターの山下有佳子とともに、これからの展開の可能性を見つめます。
青木淳(建築家/京都市京セラ美術館 館長)
1956年神奈川県生まれ。東京大学工学部建築学修士修了。磯崎新アトリエ勤務を経て、1991年、青木淳建築計画事務所(現在はASに改組)を設立。 主な作品に「青森県立美術館」、「大宮前体育館」、「三次市民ホールきりり」、西澤徹夫との協働による「京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館)」、ルイ・ヴィトンの一連の店舗など。1999年及び2021年と2度、日本建築学会賞、2004年に芸術選奨文部科学大臣新人賞、2020年に毎日芸術賞を受賞。東京藝術大学建築科教授、京都市美術館館長。
林保太(文化庁 文化戦略官/芸術文化支援室長)
1994年から文化庁勤務。文化財保護施策担当を経て2003年、河合隼雄文化庁長官(当時)が提唱した「関西元気文化圏構想」立ち上げを担当。2013年8月から、日本における現代アート振興政策立案に向けた調査研究に継続的に取り組み、その成果を基に組成した「文化庁アートプラットフォーム事業(2018~22年)」の推進を担当。2021年7月から現職。
加藤泉(美術家)
1969年、島根県に生まれ。東京、香港を拠点に活動。
主な個展として、Red Brick Art Museum (北京、2018年)、Fundación Casa Wabi (プエルト・エスコンディード、メキシコ、2019年)、原美術館/ ハラ ミュージアム アーク(東京/群馬、2館同時開催、2019年)、SCAD Museum of Art (サバンナ、米国、2021年) 、ワタリウム美術館(東京、2022年)など
進行:山下有佳子(ACKプログラムディレクター)
1988年東京都生まれ。京都で茶道具商を営む家庭に生まれる。
ロンドンのサザビーズ・インスティチュート・オブ・アートにてアート・ビジネス修士課程を修了。サザビーズロンドンでのインターンを経て、サザビーズジャパンにてコンテンポラリーアートを担当。主にオークションの出品作品収集及び営業に関わり、ヨーロッパのオークションにおける戦後日本美術の取り扱い拡大に携わる。2017年−2022年『THE CLUB』のマネージングディレクターを務める。
2020年に京都芸術大学の客員教授に就任。2022年に「Art Collaboration Kyoto」プログラムディレクター、「京都市成長戦略推進アドバイザー」に就任。
10月30日(月)
13:00-14:00 ⑨ 革新が紡ぐ伝統:引き裂かれた世界のために(協力:三菱UFJフィナンシャル・グループ)
現代社会はグローバル化や情報化を経て、縦横無尽に他者と接続してきた一方で、COVID-19や国家間の衝突に関する多くの問題も抱えています。このトークでは、アーティストのシアスター・ゲイツ、森美術館艦長の片岡真実、株式会社細尾 代表取締役の細尾真孝氏を招き、こうした社会の中で埋もれゆく伝統を守りつつ、変化し続ける世界を生き抜くための方法について模索していきます。
現代社会はグローバル化や情報化を経て、縦横無尽に他者と接続してきた一方で、COVID-19や国家間の衝突に関する多くの問題も抱えています。このトークでは、アーティストのシアスター・ゲイツ、森美術館艦長の片岡真実、株式会社細尾 代表取締役の細尾真孝氏を招き、こうした社会の中で埋もれゆく伝統を守りつつ、変化し続ける世界を生き抜くための方法について模索していきます。
シアスター・ゲイツ(アーティスト)
シカゴを拠点に活動するアーティスト、ソーシャル・イノベーター。
これまで10年にわたり、空間理論や土地開発、彫刻、パフォーマンスを通して、黒人性の複雑さを表現、翻訳してきた。思想家、制作者、建設者としてのアプローチの広がりを通して、彼は変革のエージェントとしてのアーティストの役割を拡張している。彼のパフォーマンスとビジュアル作品は、黒人の知識、物、歴史、アーカイブに根ざしたものである。
ゲイツはシカゴ大学視覚芸術学部の教授であり、アート・イニシアティブの特別顧問を務めている。
細尾真孝(株式会社細尾 代表取締役社長)
1978年京都市生まれ。元禄元年(1688年)創業の西陣織老舗「細尾」第十二代目。2012年、京都の伝統工芸を担う同世代後継者と「GO-ON」を結成し、伝統と革新が交錯する価値の創出を国内外で発表。2016年、マサチューセッツ工科大学メディアラボ ディレクターズフェローに就任。2020年、株式会社細尾 代表取締役社長に就任、人間と布の歴史を多角的に考察するHOSOO STUDIESを設立。西陣織と最先端テクノロジーが融合したテキスタイルの研究も行い、HOSOO GALLERYでの発表を続ける。
伊住禮次朗(茶道総合資料館 副館長/茶美会主宰)
裏千家16代家元坐忘斎の実弟・伊住宗晃の二男。茶名宗禮。裏千家茶道を修めると共に、茶道史や工芸史の研究者としても活動している。京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻を修了し、博士(学術)取得。堺市博物館学芸課(非常勤)勤務を経て、現在は茶道総合資料館副館長、裏千家学園副校長、NPO法人和の学校理事長、茶美会主宰。裏千家茶道を中心とした様々な領域で活動を展開している。
片岡真実(森美術館 館長/国立アートリサーチセンター センター長)
ニッセイ基礎研究所都市開発部、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年より森美術館、2020年より現職。2023年4月より国立アートリサーチセンター長を兼務。京都芸術大学大学院客員教授、ICA京都顧問。
ヘイワード・ギャラリー(ロンドン)インターナショナル・キュレーター(2007~2009年)、第9回光州ビエンナーレ共同芸術監督(2012年)、第21回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018年)、国際芸術祭「あいち2022」芸術監督(2022年)。CIMAM(国際美術館会議)では2014~2022年に理事(2020~2022年に会長)を歴任。
14:15-15:15 ⑩ 社会とアート:アートが繋ぐコミュニティ
さまざまな領域横断的な取り組みがなされる現代社会における、アートを起点とした多彩なコミュニティのあり方とは。今フランスで話題のスペース、ラファイエット・アンティシペーションの芸術監督であるレベッカ・ラマルシュ・ヴェデル氏、台湾を拠点に循環型経済におけるカルチャーとビジネスをつなぐキーパーソンとして活躍するジャスティン・ヨウ氏、アートコレクションの活用を通じた社会貢献に取り組む田口美和氏、またアーティストとしてコミュニティ・エンゲージメントを軸とした多くのアートプロジェクトに携わってきた菊池宏子氏を招き、お話を伺います。
菊池宏子(アーティスト/NPO法人inVisibleクリエイティブ・ディレクター)
東京都生まれ。1960年代のアメリカにおける前衛芸術運動(フルクサス、社会彫刻)、パフォーマンスアートの影響を強く受ける。アジア・アーツ・イニシアチブ、ロサンゼルス・カウンティ美術館、イエルパ・ブエナ芸術センターなど、地域に根差す文化施設と連携プロジェクトを多数展開。他、MITリストビジュアルアーツセンター、ボストン美術館、バークレー美術館、あいちトリエンナーレ2013、森美術館など、国内外にて社会教育・コミュニティ・エンゲージメントを軸にした事業に従事。ボストン大学芸術学部彫刻科卒業、米国タフツ大学大学院博士前期課程修了。
レベッカ・ラマルシュ–ヴァデル(Lafayette Anticipationsディレクター)
ギャラリー・ラファイエットにより創設された財団、ラファイエット・アンティシペーションのディレクター。これまでに、マルグリット・ユモーとジャン=マリー・アプリウ展、2021年マルタン・マルジェラ展、2022年シプリアン・ガイヤール展などのキュレーションを手がけている。
2021年にはリガ国際現代美術ビエンナーレ(RIBOCA)のチーフ・キュレーターを務めた。
2011年から2019年までパレ・ド・トーキョーのキュレーターを務め、毎年開催される全館を使った大規模個展「カルト・ブランシュ」シリーズとして、トマス・サラセーノによる「ON AIR」展(2018-2019)や、世界最大の身体芸術の展覧会となったティノ・セガールの個展(2016)などを開催した。
田口美和(タグチアートコレクション共同代表)
社会福祉関係の現場実践・教職を務めた後、2013年頃よりミスミグループ創業者である父田口弘が始めた現代アートコレクションの運営実務を担う。国内各地の美術館の要請に応じてコレクション展を開催。2020年8月タグチ現代芸術基金を設立し、小中学校へのデリバリー展覧会等コレクションの公益性をより高める活動を開始した。コレクションを通じて人々のアートリテラシー向上に貢献することや、教育への導入につながる活動に関心がある。現在、アートプラットフォーム”South South”アンバサダー、サンパウロビエンナーレ・インターナショナルアドバイザリーボードメンバー、東京現代アドバイザリーグループメンバー、スタートバーン株式会社シニア・アドヴァイザー、等を務める。
ジャスティン・ヨウ(Plan b Inc. シニア・パートナー/Alife Holding Co., Ltd. 創立者兼CEO)
連続起業家として、また多分野に対しての投資家として活動し、台湾の行政院から青少年諮問委員会にも招かれている。2010年、持続可能な経済発展を戦略的原則とするコンサルタント・プランニング会社、Plan b Inc.(www.theplanb.cc)を設立。長年にわたり、国内外の有名企業、非営利団体、政府部門などさまざまな分野に向けて幅広いソリューションを提案している。2021年、Alife Holding Co., Ltd.(www.alife.cc)を設立し、住宅やオフィスのレンタルサービスをはじめとして、あらゆるライフスタイルのソリューションを提供する。
16:00-17:00 ⑪ クロージング・トーク
※ 詳細は近日中にWebにて公開
Tastemaker
様々な産業分野(伝統工芸、ファッション、ITビジネス、食やエンターテイメント等)で活躍する方々がACK出展作品の中からセレクトしたお気に入りの作品について、会期中にSNSやニュースレターで紹介し、彼らの審美眼から現代アートの見方や新たな楽しみ方を共有します。
George Inaki Root(MILAMORE FINE JEWELRY CEO&ブランドヴィジョニア)
Licheng Ling(HOMEISM 創設者/クリエイティブディレクター )
Blanche Loiseau(Loiseau du Temps シェフ)
ACK開催概要
Art Collaboration Kyoto(ACK)は、「コラボレーション」をコンセプトに、京都で開催する現代美術のアートフェアです。国内と海外、行政と民間、美術とその他の領域等、様々な分野とのコラボレーションを実現し、新たな可能性を開く機会となるでしょう。会場となる国立京都国際会館では「ギャラリーコラボレーション」と「キョウトミーティング」の2つのセクションを設け、出展ギャラリーが作品の展示・販売を行うほか、ACKが主催するACK Curatesの「パブリックプログラム」、パートナー企業とコラボレーションした「スペシャルプログラム」を開催します。ACK Curatesではその他、キッズプログラム、トーク等、これからのアートの担い手を育成する教育プログラムも充実。併せて京都府内では、ACK会期に合わせて多数のアート展示が開催されます。
開催日程:一般公開 2023年10月28日(土)−10月30日(月)
内覧会 10月27日(金) ※報道関係者と招待者のみ
開催時間:10月28日(土) 12:00–19:00
10月29日(日) 11:00–19:00
10月30日(月) 11:00–17:00
※最終入場は閉場の1時間前まで
会場:国立京都国際会館(京都市左京区宝ヶ池)ほか
出展ギャラリー数:64(国内35、海外29、うち初出展33)
主催:Art Collaboration Kyoto 実行委員会、
京都府
一般社団法人日本現代美術振興協会
一般社団法人日本現代美術商協会
一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン
京都商工会議所
公益財団法人京都文化交流コンベンションビューロー
プログラムディレクター:山下有佳子
助成:令和5年度 内閣府 デジタル田園都市国家構想交付金、令和4年度 観光庁 観光再始動事業(Culture & Art Moments@KYOTO 事業)、令和5年度 文化庁 我が国アートのグローバル展開推進事業
後援:外務省、経済産業省、観光庁、文化庁、日本貿易振興機構 京都貿易情報センター、京都市、日本商工会議所、公益社団法人 経済同友会、一般社団法人 新経済連盟、一般社団法人 京都経済同友会、京都新聞、朝日新聞京都総局、毎日新聞京都支局、読売新聞京都総局、産経新聞社京都総局、NHK京都放送局、KBS京都、在大阪・神戸米国総領事館、ブリティッシュ・カウンシル、在大阪インドネシア共和国総領事館、在大阪オーストラリア総領事館、駐大阪韓国文化院、在日スイス大使館、大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館、駐日ブラジル大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、在日メキシコ大使館
URL:a-c-k.jp
パートナー:
※ACKは2022年より保税展示場として許可を得ております。
※2023年9月29日現在の情報を掲載。諸事情により出展ギャラリーや各プログラムに一部変更が生じる可能性があります。最新の情報はWebや各種SNSをご確認ください。
広報用画像などのお問い合わせ先:
ACK実行委員会 事務局 広報担当:市川靖子(株式会社いろいろ)、有田泰子、熊野豊
E-mail: press@a-c-k.