K10
ユミコチバアソシエイツ
（東京）
今回の新作シリーズ『POOOPOPOO』は、凹凸や厚みのある物質にプリントする印刷技術を使って制作された、物質とイメージ、立体性と平滑性などが絡まり合う、複雑な層構造からなる作品です。その空間では、絵具や写真といった素材、雑多なイメージ、異物やフィクションまでもが流れ込み、交錯しています。それは、絵画をマテリアルとして捉えることで、レリーフ的でかつ彫刻的な空間性、物質性をもって鑑賞者の身体を包囲する、視覚的な状況＝環境としての絵画といえるかもしれません。
「タイトルのpとoの羅列は途中までは正確に作品の制作プロセスの順番を追っているが、途中からは無意味なフィクションです。photo、on、phenomenon、oil、paint、of、picture、object、panel、over、pour、or、print、opposite、planet、optimize、paper、、、これらの作品は絵画ではなく、コラージュによって空間を作り出す彫刻だと考えています。一時的な単位、空間、歴史、集団、価値、を作り、それがまたバラバラになったり、別の何かに変化していく。閉じた一つとして見えていたものを、解体し、それ自体をマテリアルとして見て、それらの層の中に空間を作ることで異物やフィクションが紛れ込む余地を作っています。（金氏徹平）」
Gallery Information
1998年アーティストマネジメント及びアートプランニングオフィスとして設立。作家のプロモーション活動を行なうと同時に、国内外の美術館やギャラリーといった美術機関での展覧会やプロジェクトのみでなく、ファッション、インテリアといった他ジャンルにもアプローチし、ジャンルを超えたコラボレーションを実現している。2010年にコマーシャルギャラリーをオープンしてからは、定期的な所属作家の展覧会を開催している。また高松次郎、眞板雅文、吉田克朗など歴史的に重要な物故作家のエステート運営、国際アートフェアへの出展の他、アーティストについての歴史的な理解を促し、社会的な認知度を高めるため、評論家のテキストを掲載した研究冊子を多く出版している。2022年より六本木に移転し、新たなスペースを六本木ヒルズ内にオープン。芸術的/批評的な論議の活動拠点となる新プロジェクト「六本木アルスクーリア」も始動した。
