K02
Maki Fine Arts
(東京)
加納俊輔の作品は、写真を通じて、画面に複雑な階層を意識させるイリュージョンを生み出します。版画の制作アイデアであるレイヤーの重なり(積層)と、記録装置としてのカメラ(写真)の特性を活かしながら、画面を圧縮していく手法で生み出される作品は、ものの前後関係や奥行きが曖昧になる錯視効果を与えます。
主な展示として、個展「サンドウィッチの隙間」(2021-22 年/京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル)、個展「第 8 回 shiseido art egg 『加納俊輔 | ジェンガと噴水』」(2021 年/資生堂ギャラリー)、「これからの写真」(2014 年/愛知県美術館)など。THE COPY TRAVELERS のメンバーとしても活動しています。
作品「ピンク・シャドウ」は、印画紙が光を透過する性質を利用して制作され、これまでの表面からのレイヤーを重ねていく方法、「積層」から、裏面からの層が付け加えられたものです。このアイデアは、京都市出身の版画家、井田照一氏のコンセプト「Surface is the Between – 表面は間である」からヒントを得たもので、表と裏を同時に見ることを実現化した作品です。映像作品「the contact slips」、大理石を用いた作品「Layer of my labor」を加えた展示により、「見る」という行為を改めて捉え直します。
Gallery Information
Maki Fine Artsはディレクター、牧高啓により2010年秋にオープンしました。2023年で設立13年となりました。現在は東京・神楽坂にギャラリースペースを構えています。メディウムや表層の諸問題について、絵画、立体、写真などを通じて独自の解釈と卓越したアプローチを行う作家たちを紹介しています。豊嶋康子、末永史尚、加納俊輔などの日本人アーティストの作品発表のほか、2019年にはアメリカ人作家、アレックス・ダッジの日本での初個展を開催しました。また、アーティストがキュレーションする展覧会を開催し、キュレーター、批評家とも協同しながら、企画展の発信に取り組んでいます。